不透明な男
第9章 もうひとりの俺
和「しかし、なんで自分の事になるとそんな危機感無いのかね?」
潤「本当だよね。他人の事には敏感なのに」
智「え?」
雅「だからいっつもあんな事になっちゃうんだよ。分かってるの?」
皆にジロッと見られて俺は俯く。
和「そんなちっこくなって俯いちゃってさあ。可愛いんだからやめなさいよ」
潤「俺を助けてくれた時の智とは別人だな(笑)」
和「本当そう。俺を助けてくれた時の大野さんは凄い目力だったのに(笑)」
雅「双子なんじゃないの(笑)?」
あっそうだ、双子と言えばとニノが切り出す。
和「アナタ今日、何してました?」
智「え、今日?」
和「うん。どっか出掛けてました?」
智「病院に行ったけど」
潤「午前中に終わるんでしょ?その後は?」
智「えーと、家帰って、ちょっと寝た」
雅「そんでお風呂入ったの?」
智「え、何でわかるの」
雅「だってお風呂上がりのいい匂いするもん」
潤「そりゃおっさんも群がってくる訳だ」
智「え~、なんだよそれ」
ニノはじっと俺の顔を見ていた。
和「そんで、今なの?その他何処も行ってない?」
智「そうだよ?」
雅「ニノどした?なんか気になる事でもあるの?」
うーんと、ニノが体を少し離して俺の顔をガン見する。
和「やっぱ別人だよなぁ…。や、凄いそっくりさん見掛けたんだよ」
潤「は?」
雅「そっくりさん?」
今日看護士にも言われた。
それは今日の事では無かったが、ニノは今日、俺のそっくりさんを見たと言う。
雅「そんな似てたの?」
和「似てるなんてモンじゃないよ…」
俺に似た男は、ニノに目撃されていた。