不透明な男
第9章 もうひとりの俺
まず、顔が目に入ったんだ、久し振りで嬉しくなって声をかけようと近づいた。
その時、違和感を感じた、とニノは言った。
潤「違和感?」
和「うん。顔は完全に大野さんなんだけど…」
俺に似た男は、俺とは全く違う雰囲気を纏っていたらしい。
和「ふわっと微笑む顔とかは全く同じなのに…。服のせいもあるのかな…」
雅「服?」
和「スーツだったんだよ。そっくりさん」
その男は、細身の黒いスーツを纏っており、ビシッとしていたと言う。
潤「智はビシッと出来ないでしょ…」
智「はい?」
その他にもスーツを着た体格の良い男が数人おり、その男達と共にホテルに消えていったらしい。
雅「ホ、ホテル!?」
和「や、ホテルって言ってもあれよ?宿泊施設もあるんだろうけど、なんか、会食とかで使いそうな…」
雅「あ、あ~そっちね」
和「なんかさあ。大野さんはふわっとしてんじゃん?癒しオーラ満載って言うかさ」
潤「うん」
和「でも、そっくりさんは…、感情が無いって言うのかな?笑ってんのに見えないんだよ」
雅「冷たい感じなの?」
和「冷たいって言うか…、静って感じかな…」
雅「せい?」
潤「しずかって書いて静な」
雅「あ、あ~そっちね」
和「何と迷ってたのよ(笑)」
うひゃひゃと相葉ちゃんが笑った。
俺も釣られて笑ったが、ニノは俺の顔を凝視したままだった。
和「あ、あ~そっか。それが違うんだ!」
潤「ん、どこ?」
和「髪だよ!あのそっくりさんは黒髪だった!」
雅「なあんだ、全然違うじゃん。大ちゃんのトレードマークは、この明るくてふんわりした髪だもんね?」
潤「だな(笑)」
いや~そっか、それか~とニノがようやく笑顔になった。
和「個人的にはビシッとした大野さんも見てみたいけど、やっぱこっちがいいですね♪」
智「こっちて。おれ、本物だし(笑)」
そんなに似てる人って本当に存在するんだね~なんて皆で笑いながらそっくりさんの話は終わった。