不透明な男
第9章 もうひとりの俺
智「はいニノちゃん、いい子だから教えてね?」
和「んんぅ~」
あの後、久し振りという事もあって思う存分話しながら呑んだ。
その結果これ。
智「鍵どこなの?」
和「ええっとねぇ…」
酔い潰れたニノが、俺に送ってもらわないと帰らないと駄々をこねた。
潤は止めようとしたが、この間独り占めしたでしょうとニノに睨まれて身を引いた。
智「…勝手に探すよ?」
俺はポケットに手を突っ込んでガサゴソと漁る。
和「んふふっ」
智「無いなぁ…。こっちか」
和「…っひゃ」
智「これは…、ちくびだな」
んじゃやっぱりケツのポケットかとニノの尻に手を伸ばす。
和「んん…」
智「エロい声出すんじゃないよ。可愛いんだから…」
探し当てた鍵で部屋を開ける。
ふらふらのニノを抱え、靴を脱がすとソファーまで運んでやる。
智「はい、ニノ。これ飲んで?」
和「ん、薬…?」
智「勝手に出しちゃった」
和「…薬の場所も分かるの?」
智「ん?あ~、ほんとだ」
そんな事は良いから早く飲めと促す。
ソファーに横たわるニノは瞳を潤ませて俺を見てくる。
和「飲ませてよ…」
智「…甘えんぼだな」
よいしょっと抱き起こすとグラスをニノの唇に近づける。
和「そうじゃないよ…」
智「…え?」
酒のせいなのか、頬を赤らめている。
紅い頬に、紅く薄い唇をして、薄茶色のきらきらした瞳を俺にぶつけてくる。
智「ニノ…、だめだよ、そんな顔しちゃ…」
抱き起こしたニノの至近距離に居た俺は、堪らず立ち上がろうとした。
その俺の手を、ニノが掴んだ。