テキストサイズ

不透明な男

第9章 もうひとりの俺


セクシーってなんだそれ、と俺は苦笑いをした。


智「そんなん無いよおれ(笑)」

和「んも~、ほんっっと自覚無いんだから」

智「良く見すぎだよ」

和「本当だよ。俺、いつもドキドキさせられてるんだから…」


俺の胸に顔を埋めたニノの頬が、少し紅くなった気がした。


和「セクシーって言えば…、あの、もうひとりの大野さんも相当だったなぁ…」

智「だれそれ」

和「アナタのそっくりさんだよ」

智「あ、ああ…。てか、もうひとりのおれって(笑)」

和「アナタ兄弟とかいないの?本当に双子なんじゃない?」

智「そんな記憶は無い」

和「まあ、忘れてるから分かんないか…」

智「や、たぶんおれ、ひとりっこだよ」


え?思い出したの?と、ニノが俺を見上げる。


智「カン」

和「……頼りねぇ」

智「当たってるよたぶん」

和「たぶんでしょ(笑)」


ふぁ…と俺は欠伸をした。


和「眠くなった?」

智「ん、なんかこのベッド落ち着く…」

和「睡眠不足なんでしょ?早く寝なさいよ」


うん、と頷くと俺は目を閉じた。


智「ニノ…おれ寝るから、悪いんだけど…」

和「あ、ああ。くっついてたら寝づらいよね」


体を離そうとするニノをぎゅっと抱き締めた。


智「お前の体温が気持ちいいから、寝てる間こうしてていいか…?」

和「え…? ふふ、いいですよ」


嬉しそうな声で返事をしたニノは俺の胸に顔を擦り付け、抱き締め返してきた。



暖かく心地の良い締め付けに、俺の瞼は重くなった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ