不透明な男
第9章 もうひとりの俺
仕事に向かうニノと共に家を出る。
和「今日は何かするんです?」
智「仕事。探しに行こかなと」
あ~いい大人がいつまでもプータローじゃねえ、とニノは笑う。
智「んじゃありがとね。いってらっしゃい」
和「大野さんも気を付けて。またね♪」
ニノの背中を見送ると、俺は自宅に戻った。
今日は何時からだっけ…
とりあえず、用意するか…
脳を起こす為に熱いシャワーを浴びる。
髪を乾かしていると、東山先生に返してもらった俺の携帯が鳴った。
…プルルル、…ピッ
智「…はい。おはようございます。…はい、はい。1時間早くなったんですね?わかりました、すぐに向かいます」
俺は手早く髪を乾かすとヘアスプレーを取り出し頭に振りかける。
…あ、爪が黒くなっちゃった。
これ、なかなか落ちないんだよな…
しっかりと手を洗うと身なりを整え家を出た。
おばちゃんに出くわさない様に辺りを伺いながらエレベーターに乗り込む。
俺は、タクシーを拾うと素早くマンションを後にした。