不透明な男
第9章 もうひとりの俺
あれから家に帰っても、なかなか寝付けずやはり今日も睡眠不足だった。
なんなんだよ翔のくせに…
悩み事が増えちまったじゃねえか、医者の分際で何してくれてんだと心の中でブツブツと文句を言う。
B「どうした?今日はご機嫌ナナメか?」
A「いつも冷静なお前が珍しいな」
智「……」
B「そんな顔も可愛いんだなぁ…」
ニヤニヤと隣でBが笑う。
A「どんな顔したってそそるな…」
Aは今にもよだれを垂らしそうだ。
智「はぁ……」
A「悩み事があるなら聞くぞ?膳は急げだ、今夜にでも俺の部屋で…」
智「……」
B「おおぅ!その冷たい目!堪らんっ」
智「…私語は厳禁です」
ほんとにコイツらバカだなと溜め息を吐く。
俺の呆れた溜め息を、せつない吐息と勘違いしてAとBは更に沸き上がった。
智「ふぅ…」
B「いつも思ってたけど…、お前、可愛い顔してる割にはいいモン持ってんのな…」
智「こんな所まで着いて来たんですか?」
トイレで用を足す俺の横から男が覗く。
A「ほほう、どれどれ…」
もうひとり男が着いて来ていた。
そいつは俺の後ろから顔を出すと、俺のものをきゅっと掴んだ。
智「……警護は誰がしてるんです?」
俺は前を掴まれたまま微動だにせず話す。
B「雑魚どもに任せてきたから大丈夫…」
智「雑魚では役に立たないでしょう?」
A「これ、もっと大きくなるんだろう?どんなブツになるんだろうなあ?」
この男も俺を離さずに、掴んだものをじっと見ながら話してくる。
智「手が汚れますよ…」
B「俺が綺麗にしてやろうか?」
智「貴方のよだれが付きそうなので遠慮しておきますよ」
俺はふわっと微笑むと、男の手を振り払い素早くズボンを整えた。
智「…そんな顔で戻って来ないで下さいね?」
顔を赤くして間抜けな表情をしている男達に言い放つと、俺は持ち場へ戻った。