不透明な男
第10章 視線
翔「そ、それで、あの…」
翔は恥ずかしそうにもじもじしながら話してくる。
翔「い、いきなりあんな事して…、すいませんでした…」
今度は申し訳なさそうに俯く。
智「だから、あんなって、何?」
翔「や、だから…って、え?まさか大野さんも酔ってました?」
智「おれは酔ってなかったよ?」
は?って顔を翔はしてくる。
翔「え、じゃあ…、覚えてますよね…?あの夜の事…」
智「うん」
翔「いや、ですから、急にあんな事をしてしまって…」
智「あんな事って、どんな事?」
俺はキョトンとして翔を見た。
智「はっきり言ってくれなきゃわかんないよ」
翔「え!」
智「…なんで赤くなるの?」
ぷぷ
やっぱり翔は面白いな
こんなからかいがいのある奴そう居ないぞと、つい笑みがこぼれる。
翔「まさか、からかってます…?」
智「え?いんや(笑)?」
翔「はああああ、全くもう…。僕、あの日はどうかしてたみたいで、どんな顔して大野さんに会えばいいのかと緊張してたって言うのに…」
大きな溜め息を吐きながら翔は顔を押さえた。
智「や、ちょっと待って。翔くんさっきから何の話してるの?」
翔「は?」
智「だから、緊張するような事って何?」
翔「え…、だから、大野さんに無理矢理キスしたでしょう…」
智「はあ?」
俺はキョトンとする。
その顔を見た翔も、同じ様にキョトンとした。