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不透明な男

第10章 視線


智「ん…」


案の定だ。


智「んん…ぅ」


案の定だよちくしょう。


潤「智…」


ガンガン酒を煽ったせいで、あっという間に酔っぱらってしまった。
そんな俺は潤に『お持ち帰り』されていた。


潤「やっぱり智は可愛い…。本当に俺より歳上なの…」

智「ん、ふ…」


前は俺が主導権を握っていたんだ。
だって酔っぱらって無かったからね。
だけど今は違う。
酔っぱらってふにゃふにゃになった俺は、ベッドに転がされ潤に唇を吸われている。


智「んぁ…、じゅ、潤」

潤「駄目、もうちょっと…」


ねえキスして?なんて甘えた顔をして言ってくる潤に仕方なくキスしてやってたんだ。
俺がそっとキスをすると、目を閉じてそれを潤は受け止めていた。
しばらく唇を重ねていると潤の舌がうずうずし出すから、その舌も優しく愛撫してやってたんだ。

だけど、そろそろヤバいな、なんて思うと俺は潤にストップを掛けるんだ。

前の潤なら俺のストップを甘んじて受け入れていた。
それは、とても残念そうで名残惜しい顔を見せていたけれど。


智「んん…ふ…、ぅ」

潤「智の唇って甘いね…。凄く気持ちいい…」


ぼーっとした頭に甘い水音が響く。
潤も多少酔っているからだろうか、もうちょっとだけ、なんて言いながらキスを止めようとしない。

ああ、これは駄目だな、こんなんされちゃ止まらなくなるかもしれない。もう止めとかなきゃ。
そう思いながらも俺の舌は潤に対抗するかの様に、潤の口内を弄んでいた。



いや、何やってんだおれ

理性を保て



智「んん…っ、も、終わりね?」


潤の頭を掴んでグイッと引き離す。


潤「ええ?」


思った通り、潤はやはり残念そうな顔をした。


潤「なんだよ、酔っぱらってても駄目なの?」


このままイケるかと思ったのに、なんて不貞腐れてやがる。


智「ふふ、駄目だよ。お前は可愛いんだから」

潤「だったらいいじゃん」

智「だから駄目なんだよ」



はあ?意味わかんねえと潤は眉を歪ませた。



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