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不透明な男

第10章 視線



となると、やっぱりあそこかな…



あんまり行きたくないんだけどな、でも行かなきゃわかんないし。なんて頭を悩ませる。

この間はやはり潤の家には泊まらなかった。

前の俺も泊まった事は無かったと言っていた。
だけどその理由も今となってはよく分かる。

後ろめたかったんだ。

潤の気持ちを知っていてそっけなく対応するのは心が痛んだ。



それに意外とアイツ可愛いからな

コッチが抑えるの辛くなるんだよな…



なんなんだ俺は、溜まってるのかなんて頭をブンブン振ってヘンな考えを掻き消そうとしていた。






B「今日も色っぽいなハニー」

A「俺はいつでも話聞いてやるって言ってるのに」

智「………」


私語厳禁は一体どうした。なんて思いながら眉間に皺を寄せて横目でコイツらを見た。


A「ああ、その目堪んねえな…。ベッドの上で見たいもんだ」

B「なんだってお前はそんなエロい顔しやがるんだ」

智「全く…、いつも何を考えてるんですか……」


ここまで来ると呆れた溜め息が止まらない。

BGとしての腕はピカイチなのに、なんでこんなにバカなんだと俺は心底不思議な顔をした。


B「今日はお前も泊まり込みなんだろ?」

A「仮眠用に豪華な部屋を取って貰ってるからな、…楽しみだな」

智「仮眠は交替ですよ…」


ちょっとヤバいかな、なんて思っていた。
俺がBGになってすぐ位からずっとこんな感じだった。

不意討ちでハグされたり頬にキスを喰らったり、いつかの様に前をうっかり触られたりなんて事もしばしばあった。

だけどそれも俺をからかっているだけ、そんな感じに捉えていたが、コイツらもそろそろ本気で限界が来ているっぽい。

何故なら2年も焦らしているから。



よく2年も我慢出来たな

そこは誉めてやるよ



俺は母親の看病を理由に泊まり込みの任務は断っていた。

だけど、今回の会合は腕利きが多く必要なんだと秘書に強く言われ、断れなくなってしまった。



それに、俺もそろそろ先に進まないといけないな、なんて思っていたし…



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