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不透明な男

第10章 視線


ここは豪華ホテルで社長は今、会合中だ。
と言うよりは密会と言った方がしっくり来そうな感じだが。

会合前に客室で社長が休んでいた時に捕物劇があった。

諦めの悪い奴で結構暴れやがった為に俺は少し疲れていた。

だがまだまだ勤務中。
密会中の部屋の前は別の奴に任せ、AとBはその部屋の外、窓の下あたりを警備中。
俺はと言うと、ホテルの敷地を出てすぐの薄暗い道路側を見張っていた。


「一緒になるのは初めてだな。よろしく成瀬君」

智「こちらこそ宜しくお願いします」

「早く車に乗って。目立つといけないでしょ?」


ABが悶々してきたから今回はアイツらから離れた。
するとムキムキの普通の男と、やたらクネクネするムキムキが一緒になってしまった。

まぁ、普通の方は紳士そうだが、このムキムキはなんだ?オネェなのか?

紳士は助手席に乗り、俺とオネェは後部座席に乗り込む。


「成瀬君、さっきは疲れたろ。少し休んでおくといいよ」

智「いえ、大丈夫ですよ」

「少し汗もかいてるじゃない。休んでおきなさい」

智「後で仮眠も取れますから…」

「さっき捕物劇があったんだから今日はもう大丈夫だろ。一応俺達が見張っとくから気にするな」

「何かあったら起こしてあげるから、ね?」


後で仮眠が取れるとは言っても安心して休めそうにもなかった。
AとBが大人しくしているという保証が無い。

それに、社長が眠った後、隙があれば少し身辺を探ろうかな、なんて考えていた。


智「それでは、すみませんが少しだけ…」

「ああ、遠慮しないで休め」


オネェは多少気になったが、まあ紳士がいるし、大丈夫だろうと目を閉じた。


俺は何故か男から好かれやすいが、大体の男は俺を『抱きたい』方だ。
俺に『抱かれたい』と言う男はそんなには居なかったと思う。

紳士とオネェと言うこの組み合わせ。
だからこの二人なら問題無いだろう、なんて甘い考えをしながら眠りに入ったんだ。



今夜、チャンスあるかな…

何か分かればいいけど……



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