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不透明な男

第10章 視線



もぞもぞ…もぞもぞ……





なんかやたらもぞもぞするな

寝苦しい…



俺がうっすらと目を開けると目の前に黒くてフサフサした物があった。

俺はそれをわしゃっと掴む。



ん…

髪の毛…?



智「え…?」

「やだ、起きちゃった」

智「ちょ…っ、な、何を」


俺のネクタイはほどかれ、シャツのボタンも外されていた。
しかもその露になった俺の胸にオネェが顔を擦り付けているというカオスな状況だった。


おい紳士早く助けろと目で訴える。



……おい、紳士?

なんでお前まで鼻息が荒いんだ



いつの間にか後部座席に乗り込んでいた紳士とオネェに俺は挟まれていた。

ムキムキ二人に挟まれてぎゅうぎゅうになった車内ではろくに動く事も出来ない。


智「ちょ、ちょっと…、き、勤務中ですよ?」

「…勤務が終わればシテいいの?」

智「はっ?」

「ずっと前から可愛いなと思ってたんだよ、成瀬君」


後ろから紳士の顔をした狼野郎に抱き込まれ、前からオネェが迫ってくる。

俺のベルトはカチャカチャと音を立てて呆気なく外されてしまった。



やべえ…

なんだかんだで力じゃ敵わねえ



見た目の威嚇も重視しているBG達だから、力が強いのは勿論の事、身長も皆デカい。
一番チビでも180㎝はあるだろう。

そんな二人に押し潰されちゃ敵わないのは当たり前の事だった。


智「や、止めて下さい」

「んふっ、可愛い♪」

智「駄目ですって、こんなの…」

「男もなかなかいいんだぞ…」


どれがどっちなんだか分からないが、俺は耳をしゃぶられ下半身を弄られている。


智「や、ほ、本当に…」


ヤバい。やっぱ俺溜まってるんだろうか。
男には必ず付いている物なんだから気持ち良くなるポイントなんて知ってて当然だった。
そこを執拗に弄られ、勃ってしまいそうになる。



頼むおれ

頑張れ、勃つんじゃない



智「んん…っ」

「我慢しなくていいのに…」


振りほどけ無いのなら何か別の事を考えて気を紛らわせるしか無かった。
そんな俺はもがきながら車外へ目をやる。


智「…あっ、あれ!」

「え?」


紳士とオネェの力が緩んだ瞬間、俺は二人を蹴散らし車から飛び出た。



俺はUFOを見付けた訳じゃ無いんだ。



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