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不透明な男

第10章 視線


智「ん…?」


ドアの方に人影が見える。
俺はベッドに張り付けられたままその人影に目を凝らす。


A「これはまた…、エライ事になってるな(笑)」

B「コイツも外に出しとくぞ」


オネェと紳士は廊下に放り出され、持ち場に戻る様命じられた。


智「あれ…、もうそんな時間ですか?」

B「俺のポケットに入れといた筈のルームキーが無くなってたんだよ」

A「まさかと思って来てみたんだが、やっぱりだったな」

智「あ、そうでしたか…。すみません、有難うございます」


まあ、いいって事よと二人がドヤ顔を見せた。


智「…そんなに見ないで貰えます?」


確かにあの変態達は放り出してくれたが、俺の事は一向に助けようとしない。
服を乱され両手を縛られたままの俺を、痛いほどの視線で見ていた。


智「動けないので、外して貰えると助かるんですが」

A「外すのか?」

智「当たり前でしょう」

B「…何処までされた?」

智「は?」

B「続きやってやるよ…」


何を言い出すんだコイツ。
いや、分かる、分かるけども。
だけどこの場合、大丈夫だったか?と優しく微笑んで俺を慰めるのが普通だろうと、俺は眉を歪ませた。


智「や、ちょ…、ま、待って」

A「お前はバカか。悪いな成瀬、まずは綺麗にしないとな」


Aは俺に覆い被さるBの頭を叩くと熱いおしぼりを俺の首に這わせた。



……

これは

感謝すべきなのか、それとも…?



Aの行動の意味が分からずに、俺はされるがままに体を拭かれていた。


A「仮眠は取ったのか?」

智「い、いいえ…、すぐ起こされてしまったので…」

B「アイツら罰として仮眠無しだな」


広いベッドに張り付けられた俺を挟んで両隣にAとBが座っている。

アイツらに汚された所を綺麗にしてやるからと丁寧に身体を拭かれていたが、気付けばさっきは外れていなかったボタンまでも外されていた。

その、異常な光景に俺の思考回路が働かなくなっていた。


智「あ、あの、そこは拭かなくても大丈夫です…」


臍なんて舐められちゃいない。
だけどシャツのボタンを全部外され、臍を中心に湿ったタオルが身体を這い回った。



これは

やっぱりアレだよな…?

ヘンなやつだよきっと



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