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不透明な男

第10章 視線


駄目だ、止めて下さいと言いながらも俺の体温は上がってきていた。

それもその筈。

なんだかんだで今日は大変だったんだ。

普段は特に性欲も沸かなかった。
潤やニノに会うと少しムラムラしないでも無かったが、家に帰ればなんて事も無かった。
だから特に自己処理もしていなかった。

きっと溜まってるんだ。

そんな所に不意に襲いかかる悪戯。

こんなヤツに乱れた姿なんて見せられるかと、なんとかその悪戯から逃れた。


だけど、なんだかんだで焦らされていたんだ。


そうなってしまった身体が、もう俺の意思なんて関係無く反応してしまうのは時間の問題だった。



くっそ、身体が勝手に跳ねる

シャワーの時に抜いときゃよかったな…



智「んん…」

A「我慢するな。お前の声が聞きたいんだよ」

智「っく、は」

B「やっぱりデカいな…、これじゃ女も喜んだだろ」


何か、何か他の事を考えるんだ。
翻弄されるな。
声なんて、絶対聞かせてやらない。



コンコン



A「なんだ?」

智「さ、さっき…、ルーム、サービスを…っ」



コンコン



B「しょうがねえな」



今度こそ来たかとドアに目をやる。
すると、Bと共にそのホテルマンは部屋に入ってきた。


智「ちょ、なんで部屋に入れ…」


こんな醜態を見られるなんて屈辱以外の何物でも無かった。


A「あの角度だと上半身しか見えないだろ」

智「だ、だけど…、んんっ」


上半身だけとは言っても、Aに首を貪られ眉を歪めて歯を食い縛る。
その上シャツからは肩や胸が見えているし、なんなら両手は頭上に縛り付けられている。

こんな姿、恥ずかしいに決まっているだろう。


A「旅の恥はかき捨てと言うだろう。もう会う事も無いんだ、気にするな成瀬」


それもそうか、確かにもう会う事も無いだろう。
不幸中の幸いと言うヤツか。
だが明日は会うかもしれない。なるべく会わない様に顔を覚えておこうと、ホテルマンに目をやる。

しかし既に熱で潤んだ目では、ホテルマンの顔は良く分からなかった。



ちきしょう見えねえ

明日、会わないといいけどな…



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