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不透明な男

第10章 視線


俺の後ろを解された。
ということは、やっぱりアレが待ってるんだろうか。


俺は短く荒い息を吐きながら、コイツらをチラッと見た。


まだまだコイツらは鼻息が荒く、元気だった。

それもその筈。
イカされたのは俺だけで、コイツらはまだ一度も出していない。

その事に不安を感じた俺は、背筋がゾッとした。


A「疲れたか?少し休もう」


俺は拍子抜けした。
次はヤラれるな。次こそブチ込まれるんだと、少し怯えていた。

それなのに、横たわった俺にシーツを纏わせると手を引っ張ってベッドに座らせた。


B「水、ぬるくなっちまったけど」

智「あ、ああ……、ん?」


俺に水をくれるんだと思って手を出したのに、その俺を無視してジャンケンをしている。


智「あの…?」

B「よし、おまたせ」

智「んん…っ」


わざわざ口移しで飲ませなくていい。
さっきのジャンケンはこの為かよと心で溜め息を吐いた。


智「んぁ…」

B「ん…」


水が無くなっても俺の口内から出ていかない。
俺の両頬を掴み、呼吸の苦しくなる様なキスを強いてくる。


智「んん…っ、ぷはっ、はっ」

A「バカか。加減しろ」


Bは頭を叩かれ後ろに下がった。
すると今度はAの唇に襲われる。


智「んん…っ、ん、んぅ…っ」

A「これ、旨いだろ?」


口の中に葡萄の味が広がる。
甘すぎて蒸せそうだ。


智「ん、ん…っ、けほ、けほっ」

B「駄目だよ急に。成瀬が苦しがってるだろ?」


俺の背中を擦るとまた水を飲ませてくる。



あの…

なんなのこのプレイ



智「な、なに」

A「いや、ちょっと虐めすぎたかなと思ってな」

B「罪滅ぼしだよ」

智「んじゃ最初からするなよな…」

A「そうはいかねえよ…」

智「え」

B「安心するのはまだ早いって事だよ」




あれ?

おれは解放されたんじゃ無いのか?



普通なら、その流れだったよね?




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