
不透明な男
第10章 視線
怯えた瞳を晒け出して俺は後ずさる。
A「ふふ…」
纏ったシーツを引っ張られ俺は転がされた。
智「ちょ、マジで…」
B「マジだよ」
うつ伏せになった俺の肩をBが押さえ付けると、Aが俺の腰を掴み引っ張り上げる。
智「んん…っ、や、めろっ」
A「ほら力を抜け。もっかい解してやるから」
智「は、離せよっ」
B「狡いよ。今度は俺にやらしてよ」
俺にも成瀬の恥ずかしい所見せろと、BがゴネるからAは場所を譲った。
智「んんぅ…っ、んっ」
B「お前の良い所、探してやるからな…」
智「くっ、や、やめ」
俺の身体はベッドに張り付けられているのに、腰は高く持ち上げられていた。
その格好に、恥ずかしさが込み上げる。
智「んぁ、…っ、あ、ぁ…っ」
B「ここか…。よく解さないといけないから…」
A「コッチも元気にしてやらなきゃな…」
はーはー、と小さく呼吸を荒げる俺の前に、Aが手を伸ばす。
智「んん…っ、く、お、お前ら二人で、ヤればいいだろ…っ、お、俺を、巻き込むな…」
A「コイツとか?」
智「ど、うせそういう事、してんだろ…っ」
B「まぁ、たまにはするけど」
A「お互い只の性欲処理だからな。成瀬は、コイツとするのとは訳が違う…」
B「そう、感情が入るんだよ…。こんなにワクワクしてる」
智「ん、んん…っ」
駄目だ話にならない。
いつもヤッてんだったら今日も二人でヤればいいじゃないか。
そこに何故俺を巻き込むんだ。
きっとAが上でBが下なんだろう。
あれ?じゃ、ここに俺が巻き込まれたとしてどうすんだ。
Aは俺をヤるつもりだろうが、Bはなんなんだ。
いやでも、サディズムな奴ってのは、マゾヒズムを持ち合わせている事が多いと聞いた事がある。
完全なサドでも無さそうなBは、今回はどっちに転ぶんだ。
てか、そんなんどうでもいい
それよりも
おれはもう、逃げられないのか…?
