
不透明な男
第10章 視線
少しの身動きを取る事も許されずに、俺の後ろを太い指が襲う。
握り込まれた俺の前は、既に二回も果てたというのに再び硬く熱を持つ。
Aの大きな掌が俺の背中を這う。
A「綺麗な背中だな…」
B「うん…。良かったよ…」
良かったってなんだ、と俺は二人の顔を見た。
そうすると、何故か二人は少し安心した様な、そんな柔らかい表情を見せた。
A「成瀬…。お前は気を付けろよ…」
智「…え?」
腰を付き出したままの俺の上半身をグイッと起こすと、Aは俺をぎゅっと抱き締め、ふんわりと唇を覆ってきた。
智「ん、ふ…ぅ」
咄嗟に甘い吐息が漏れる。
Bは俺の付き出した腰を片手で掴み、蕾に舌を這わせながらもう一方の手で尻の膨らみを優しく撫でる。
その、不意の優しい行為に、思わず俺の思考は停止しそうになる。
そっと俺の背中から抱き締めていた手を離すと、Aは俺の後ろに回り込んだ。
すると今度はBの胸板が目の前に立ちはだかる。
A「いくぞ…」
俺の腰はグッと掴まれた。
智「ん、う…っ…」
いつの間にかAが纏っていた滑りの良い液体のせいで、俺の解された後ろは拒む事無くAを飲み込んでいく。
智「…っ、く…」
B「歯を食い縛るな。俺を掴めばいい」
久し振りの圧迫感に脳が痺れる。
ずるずるとゆっくり俺の中を出入りするその刺激に手を震わせ、すがる様にBの肩を掴んだ。
智「っ、あ、あぁ…」
さっきとは比べ物にならない位の熱が身体を襲った。
