
不透明な男
第10章 視線
俺の身体は熱く火照り、額には汗が滲む。
ぎゅっと目を閉じ、歯を食い縛りながら俺を襲う熱に耐える。
智「ん、んん…っ」
A「強情な奴だな…」
B「そんなに歯を食い縛ってちゃ、力も抜けないだろ…」
俺の固く結んだ唇に指が触れる。
その指は俺の唇を割り、ギリギリと閉じた歯をこじ開けた。
智「んぁっ、あ…」
A「ふふ…」
口を開いた途端、甘い息と共に体の力が抜ける。
その開いた俺の口内にBの指が差し込まれた。
智「んぅ、ふ、ぁ…」
差し込まれた指は俺の口内をぐるぐるとかき回し、俺の唾液を掻き出そうとする。
智「んんっ、ん…」
その唾液を垂らさない様にと、俺は思わずBの指に吸い付いた。
B「あぁ…、気持ちいいよ…」
しまった、何か煽ったかもしれない。そう思った俺の唇は緩み、唾液が口の端から溢れる。
B「いやらしいな、成瀬…」
俺はAに突かれながらも目の前にいるBに犯されていた。
俺の口内を指で犯しながら、首を伝う唾液を舌で絡め取られる。
智「ん、んぅ…っ、んぁ」
Aは俺の切羽詰まった声を聞きながら、浅く深くと緩急を付けてずるずると出入りする。
その緩やかな刺激にさえ過剰に反応してしまうのは、俺の耳に掛かるBの熱く荒い呼吸のせいだ。
智「は、はぁっ、お、おかしくなる…っ」
俺の胸を、熱い舌がいやらしく舐め回す。
俺の後ろでは、熱い塊が俺の中を探る様に深く掻き回す。
智「あ、あっ、んぅ…っ」
A「気持ちいいか…?」
智「く…っ」
背後から首を伸ばし、俺の首に吸い付く。
震えた俺に気付くと、Aは俺を深く突き上げた。
智「んぅっ、あ、あっ」
俺はふるふると手を震わせ、Bの肩にしがみついた。
薄くしか開かなくなった俺の目は、いつの間にか熱で潤んでいた。
眉を寄せ、薄く潤んだ瞳をBに向けすがりつく。
小さく開いた唇からは、俺の甘い声が響いた。
智「んぁ、あっ、も、もう、や…めっ」
俺は、プルプルと小さく頭を振った。
その頭をガシッと掴まれ、浅い呼吸しか出来なくなってしまった俺の唇を塞ぐ。
智「ん、んぅっ、ふ」
やめてくれと、懇願する事も許されない。
