
不透明な男
第10章 視線
駄目だ、このままじゃ俺はどうにかなっちゃう。
そんな気がした。
松兄ぃに慣らされた身体を恨めしく思った。
だって、嫌だ、やめろとコイツらを跳ね退ける事も出来ずに、俺の身体からは力が抜けていく。
早く離せと暴れる事も出来ずに、只、俺の身体は震えていた。
腰と頭を掴まれ、俺の中と口内を犯されているにも関わらず、俺の身体はしなる。
智「ん…っ、ん、ぅ」
A「膝が震えてるぞ…」
B「舌も…、ビクビクしてる…」
俺の身体はおかしい。
もう、既におかしくなっていたんだ。
だって、勝手に身体は脈打ち、ビクビクと震えていた。
俺の手は力が籠り、骨が白く浮き上がっている。
その、掴まれたBの肩からは血が滲んでいた。
智「っ、はぁ、はぁ…っ」
A「もっとだ…。もっと乱れろよ…」
智「っ、な、なにを…」
Aは俺の中に入ったまま、俺をベッドから引き摺り出した。
俺はBの肩に掴まったまま、Bと向かい合わせに立たされた。
その俺の後ろを、まだまだこれからだと言う様にAは激しく突いてくる。
智「っく、あ、あぁっ」
Bを掴む手に、ギリッと一際力が籠った。
B「はは、いてえよ、成瀬…」
智「んぁっ、く…、し、仕方無い、だろ…っ」
既に震えていた膝が耐えられる筈もなかった。
俺はBの肩を掴む手はそのままに、ちょうど俺の目の前にあるBの胸板に顔を埋め、体重を預けた。
智「あぁ…っ、や、やめろ…」
B「そんな事言って…、気持ちいいだろ?」
首を曲げ、俺の内耳に舌を差し込む。
それだけでも身体が震えるのに、更には大きな手で俺とBのモノを擦り合わせる様に掴んできた。
背には熱い唇が吸い付き、俺の脳をジンジンと痺れさせる。
智「うぅ…っ、ん、は、はぁっ、あ…」
もう抗えない。
震える膝がその証拠だ。
もう、俺は逃げられない。
おれは、理性を手離したんだ。
