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不透明な男

第11章 背徳


潤「で?何処にいたか分かったの?」


相葉ちゃんが作ってくれた酒を呑みながら、潤は俺をチラッと見た。


雅「何それ?」

潤「倒れる前さ、家に帰ってなかったって話だったじゃん?」

和「あ~、俺もそれ気になってたんだよね」


三人の視線が一斉に俺へと向く。


智「え、えっと」

和「どこで何してたのよ」


ニノが鋭い目付きで俺を見てくる。
蛇に睨まれた蛙ってのは、今の俺の様な状態を言うんだろうか。
俺は少し目をキョロキョロさせて答えた。


智「あ~…、なんか、ね。呑み歩いてたみたい…?」

潤「は?」

雅「…毎晩呑み歩いて家に帰らなかったって事?」

智「えへへ」

和「………えへへ、じゃねえよっ!」

智「いて」


急にニノに頭をシバかれた。


雅「も~、大ちゃんが痛がってるでしょ」


大丈夫だった?と相葉ちゃんに頭を撫でられながら、上手く誤魔化せたかなと不安で顔を上げられなかった。


潤「でもそれっておかしくない?だって、あのおばさんに『暫く帰れないかもしれないから』って言ってたんでしょ?」

雅「それなら、成り行きで1ヶ月も呑み歩いてたって訳じゃ無さそうだよねぇ」

和「成り行き…、成り行き…?成り行きってアナタ、ひょっとして」


急にニノが目を剥いた。


和「な、成り行きで、ヘンな奴に捕まっちゃって帰れなかったとか…」

雅「あ、大ちゃんならあり得るね」

潤「あぁ?何処の誰だよソイツ」

智「や、ちょっと、憶測で話しないで…」


まあまあ落ち着いてと三人を宥める。


智「ニノんとこにも泊まってたしさ、そんな感じでつい、ね…」

和「つい?つい、他の奴に着いていったと?」

智「や、じゃなくて」


全くどう説明したら信じて貰えるんだ。
いや、嘘なんだけど。
だけどさ、これくらいの嘘、すんなり信じてくれてもいいじゃないか。



全く、世話が妬けるよ…

いや、違うか

おれが世話かけてんだな




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