
不透明な男
第11章 背徳
智「もう、疑い深いな…。来てないってば…ぐっ」
隣に座っているニノを横目でチラッと見ながら話していたら、急にニノが俺の顔を両手で挟んだ。
和「うーん、もうちょっと、コッチかな…」
挟んだ両手で俺の顔の角度を変える。
智「な、なに」
和「うん、ここらへんだな。ちょっと目、閉じて?」
智「んぁ?」
いいから早く、とニノに急かされ取り敢えず俺は目を閉じる。
智「閉じたけど…」
和「うーーん、あと、眉。ちょっとしかめてみて」
智「はい?」
雅「ニノ?」
顔の位置がずれない様にと挟んだままだった両手を少し離し、俺の眉間をニノの指が撫でる。
和「そんで唇は…こんくらい、かな」
智「う」
和「動かしちゃだめ。そのまま、ね?」
潤「おお…」
俺の唇をニノの指で少し開き、ニノの爪を少し噛ませた。
開けすぎちゃ駄目なんだ、これくらいだよと、ニノはうんうん頷いた。
智「な、なんだよ…」
和「あっ!もう…話しちゃ駄目だってば」
俺の開いた唇をニノが整える。
和「目、ちょっとだけ開いて?薄くね」
なんなんだよと思いながらも取り敢えず薄目をしてみる。
和「そうそう、眉はしかめたままで、気だるそうに…」
潤「おおお…」
雅「大ちゃん、えっろ…」
薄目でニノを睨み付けると、ニノはうっとりとした表情を浮かべながらも小首を傾げた。
智「な、なんなの?」
和「ん、ありがと。もういいよ」
ニノの両手に開放された俺は、表情を元に戻し、少し不貞腐れた様に方眉を上げてニノを見た。
和「いや、ね?俺、大野さんのエロい顔見たこと無かったからさ」
潤「智、そんな顔出来るんだ…」
和「ちょっと見てみたくて、さ」
雅「破壊力凄いな…」
そんな顔見せられちゃ、そりゃ駄目だわ。誰でも腰ヌケになっちゃうよと、相葉ちゃんが笑った。
智「そんなの見たかったの?」
和「うん。確かめたかったんだよ」
潤「確かめる?って、何を」
ニノは腕を組みながら、またもや俺を舐めるようにじっと見つめる。
そして一息おくと、小さな声で言った。
和「やっぱり似てるよ…」
雅「は?」
和「て言うか、同じだよ」
潤「だから何が」
その言葉の意味が理解出来ずに、俺も含めて皆がニノを見た。
