
不透明な男
第12章 惑乱
雅「…どうしたの今日。なんかヘンだよ?」
相葉ちゃんの店に来た俺は、出された酒にもロクに手を付けずにぼーっとしていた。
智「んぁ…?」
雅「聞いてた?」
智「え、なんだっけ」
もう、と少し呆れながら相葉ちゃんは俺に目線を合わせて話してきた。
雅「だからこの間の事。俺どうやって帰ったんだっけ?次の日店に来たら片付けもしてなかったからさ、びっくりしたんだよね(笑)」
泥棒でも入ったんじゃないかと焦ったよ~なんてケラケラ笑う。
智「明日片付けたらいいよって言ったら帰ったじゃんか。タクシーに乗って…」
雅「タクシー?大ちゃんが呼んでくれたの?」
智「…覚えてないの?」
えへっ、ごめん、なんて顔の前で両手を合わせて俺に頭を下げた。
智「帰るとき、おれに言った事も…?」
雅「え?俺、何言った?」
覚えてないのか。さすが相葉ちゃんだ。
グッジョブだ、問題無い。
智「や、別になんも?」
雅「…なんか、隠してるでしょっ。教えてよ~」
智「な、なな、なんも隠してないってば」
ガクガクと俺を揺さぶる所へ救世主が現れた。
和「何やってんですか。大野さんの頭が取れたらどうしてくれんのよ?」
潤「ほら、智の目がくるくるしてる」
雅「あー、いらっしゃい♪」
二人の顔を見て、さっきの話をコロッと忘れたのかいそいそと酒を作り出した。
雅「はい、おまたせ」
ってことでかんぱーい、と相葉ちゃんの元気な声が響く。
潤「どういう事でだよ(笑)」
雅「そこら辺は気にしないのっ」
和「ほんと、あいばか…」
あっこら、それ言うなっていつもいってんだろと、またもや元気な声が聞こえた。
智「ぷ、く、くくっ…」
なんだ、まだ笑えるんじゃんか
おればっかこんな
ごめん…
