
不透明な男
第12章 惑乱
智「もう大丈夫だから。震えんな」
和「う、うん…」
あの後すぐに俺は皆の所へ戻った。
なんか凄い声が聞こえたけど、大丈夫なの?と角を覗こうとした。
問題無い、見なくていいからと、覗こうとする三人を制し俺たちはニノの家までやってきた。
和「あ、上がって?コーヒーでも飲んでってよ」
潤「ん、じゃあお言葉に甘えて」
雅「おじゃまします…」
俺達が家に上がると、ニノは玄関の鍵を閉めた。
一番最後まで玄関にいたニノは、俺の靴を見ながら呟いた。
和「踏んづけたの…?」
潤「へ?」
和「大野さんの靴、血、付いてる」
一斉に視線を浴びた。
智「んな訳無いでしょ。それはこの間鼻血出しちゃったのが付いただけだよ」
んもーいちいち訳の分からない事言うんだからと、貰ったティッシュで血を丁寧に拭き取った。
潤「でもさ、結局どうやったの?」
雅「下手したら大ちゃんが襲われてたかもしれないのに」
和「そうだよ、俺より大野さんの方が危ないじゃん」
智「アイツらおれに興味なんて無いよ」
潤「そんなの分かんないじゃん」
智「分かるよ。アイツらは生意気な奴を降伏させて楽しんでるんだよ」
潤「ああ、だからニノか」
雅「どストライクだったんだ」
智「そう」
和「生意気……」
ニノが目を点にして俯いた。
雅「あ、い、いや、生意気ったって、アレだよ?可愛いんだよ?そう、可愛い生意気なんだよ!」
和「なにそれ…」
潤「でもよくそんなの分かったね?」
智「ん?ああ…。カン」
潤「本当に?」
コイツも鋭いんだった。
疑うだけ疑って答えに辿り着けない。
可愛いヤツだ。
智「とにかく、もう来ない様に言っといたから。安心して?」
雅「そうなの?」
潤「そんな約束守れる奴なのか?」
智「ちゃんとお願いしたから大丈夫だよ。来たくたってもう来れないよ」
雅「来れない…?」
あれだけ言い聞かせたんだ。
ひとりじゃなんも出来ない雑魚の癖にまた来ようなんて、そんな度胸ある筈無い。
潤「一体何したんだよ…」
智「だからお願いしただけだって(笑)」
ヘラヘラ笑う俺を皆が不思議そうに見る。
だけど間違った事は言ってないよ?
ちょっと言葉は足りてないかもしれないけど。
