
不透明な男
第12章 惑乱
俺は、不敵な笑みとは裏腹に優しく抱いてやった。
乱暴にしてごめんね?優しく抱いてあげますよと言うと、夫人は頬を染め俺をうっとりと見つめた。
「あ…ん、領くん…」
智「凄く、綺麗ですよ」
綺麗だよ、可愛いねと誉めてやると瞳を潤ませ喜んだ。
俺の唇で全身を愛撫してやるだけで、身体を震わせ悦びを俺に伝えてくる。
それを見ながら俺は、ニコッと笑ってやるんだ。
簡単だ。
夫人なんてイチコロだ。
「あぁっ、や、やだ…、また、イッちゃいそう…」
智「ん…、もっと、気持ち良くなって…」
「あ、あぁ…っ、あんっ…」
きっと社長は今まさにこの映像を見ているのだろう。
隠しカメラに灯るランプが怪しく光っている。
夫人に攻められて悶える俺が見たかったのか、それとも女を抱く俺を見たかっただけなのか。
真意は分からないが、とにかく俺の醜態を見たくてウズウズしてるんだ。
だったらどれだけでも見せてやるよ。
そのレンズの向こうでよだれを垂らして悦ぶ顔が目に浮かぶ。
「ああっ、りょ、領くんっ、意地悪、しないで…」
智「もう限界ですか?」
「んんっ、も、もう…っ」
智「じゃあ、本気出しても、いい…?」
「んぁっ、あ」
智「は…っ、覚悟、して…」
「あっ、や、やだっ、あ、あぁっ」
俺を取引材料にしようなんて、コケにするにも程がある。
「んぁ…っ、あ、あぁ…んっ、も、もう、だ、め」
ちょっと激しく揺さぶっただけでもう根をあげた。
なんだよ口程にも無いじゃんか。
智「もう、駄目なの…?」
「んぅっ、あ、あぁっ、も、や…っ」
智「イカせて欲しい…?」
「りょ、領くんっ、お願い…、もう、飛んじゃいそ…」
涙を流しながら俺の腕を掴む。
プルプルと震える手で、俺の二の腕に爪を立てた。
智「ん…、いきますよ…っ」
「あああっ、あっあ、あぁっ…」
耳鳴りがする。
またも悲鳴を上げたと思ったら、ぐったりと脱力してしまった。
まあ、これで十分だろう。
俺は夫人にバスローブを羽織らせベッドに横たえるとシャワーを浴びた。
俺の身体に纏う女の匂いを、熱いシャワーで流した。
