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不透明な男

第2章 正体不明の男


男「だから、お前を取り戻そうとあんな事…」

智「…」

男「智、ごめんな…?」

智「いいよもう…終わった事だし。それに、忘れちゃったおれが悪いんだよ。」


男は泣きそうな顔をしていた。


男「いつもそうだった。お前は優しいんだよ…。」

智「優しい?」

男「懐が広いんだよ。怒らないどころか、全て受け止めて包んでくれるんだ。」

智「おれ、かっこいいじゃん…。」


男はそうだよと、ふふっと笑う。


智「んで、おれとあなたは、そういう関係なの…?」

男「そういう…って?」

智「だから、さっきみたいな…」


俺は恥ずかしくなって口籠る。


男「いや、違うよ。」

智「…へ?」

男「只の友達。」

智「は…?なのにあんな事?」

男「只の友達だと思ってたのはお前だけで、俺はずっとお前を愛していたんだよ。」

智「…」

男「それに気付いているのかどうか…お前はいつも俺を惑わせてた。」


お前は罪作りな奴なんだと男が笑う。


男「で、今回の事もあって、俺が暴走したと、そういう訳だ。」

智「ひでぇ…」

男「ははっ。」

智「笑い事じゃねぇし。」


口を尖らせてそっぽを向く俺に男が悪戯な笑みを浮かべる。


男「でも、まんざらでもなかっただろ?」

智「はぁ?」

男「だってお前、イッたし。」

智「!」

男「それも2回も…。」

智「そ、それはあんたが…」

男「あぁ、可愛かったなぁ…。お前、あんな声出すんだな…。」


男はうっとりとした表情で先程の俺の醜態を思い浮かべる。


男「可愛い声で…眉間に皺寄せて、エロい顔するんだよ…。」

智「もうやめて…」


俺は恥ずかしくて消えたい位だった。










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