不透明な男
第2章 正体不明の男
そんなんでどうやって思い出すんだよ…
智「おれ、何歳?」
男「26、7位だろ。」
智「歳も知らないの?」
男「んでも、懐メロとか昔見てたドラマの話からすると、それくらいだぞ。」
智「推測かよ…」
男「もっとも、顔だけで判断するならもっと若そうだがな。」
男は俺の顔をうっとり見つめている。
智「あんたは何歳なの。」
男「俺?俺は30歳だ。」
これを聞くと男が泣くんじゃないかと躊躇っていた質問がある。
でも、聞かない訳にはいかなかった。
俺は静かに口を開く。
智「…あんたの、名前は?」
男「…」
ほら、そんな顔するんじゃねえよ…
俺は罪悪感で押し潰されそうになる。