
不透明な男
第13章 胸裏
智「目、開けていい?」
翔「いいよ…」
俺はパチッと目を開けた。
そしてすぐに翔の顔を探す。
智「ね、お願い。笑った顔、見たい」
翔「え?」
智「お願い翔くん。見せて…?」
翔「ふふっ、何、急に。どうしたの?」
あ、この顔だ
いつもの翔の笑顔
それは嘘だったけど、俺には凄くいい顔に見えるんだ
智「ふふ、ありがと…」
翔「ヘンな智くん(笑)」
もういいや。
社長を成敗して終わりにしようなんてあの二人と話していたけど、この顔が見れたんならもう思い残すことはない。
社長の事は、あの二人がなんとかやってくれるだろう。
智「んん…っ」
また身体がビクッとする。
智「ん…っ、しょ、翔くん…?」
思わず目を開いて刺激のあった方へ目を向けた。
智「ん…ぁ…」
なんでだ。
何故お前は俺の胸に舌を這わせているんだ。
智「は、ぁ…っ、しょ、待っ…」
翔「ん…、どうしたの…」
どうしたのじゃねえ。
なにをやってくれてるんだ。
智「さ、さっきから、一体なにをやってる…」
翔「は…?」
智「こんなの、必要無いじゃん」
翔「必要無いって…、無い訳、無いでしょう?」
智「へ?」
翔「早くって、急かしたのは、智くんでしょ」
そう言うと、ガバッと俺に覆い被さり、俺の首に吸い付いた。
智「ん、ちょ…っ」
翔「一体今までどんな風にしてたんだよ…」
なんだ?
何かがおかしい。
噛み合ってない様な気がする。
待ってともがく俺を、翔は押さえ付ける。
煽ったのはそっちでしょ、覚悟してるって言ったでしょと、俺の耳元で囁く。
智「んっ、しょ、翔、なんか、違…」
俺の耳を舌で擽りながら、胸を指で弄る。
熱くなりそうな身体を理性で押さえながら、俺は話す。
智「や、やめ…、は、なしを…っ」
翔がピタッと止まる。
翔「話?」
はぁ、はぁと、小さく息を吐きながら、俺は翔を見つめた。
明らかに、翔はキョトンとしていた。
