
不透明な男
第13章 胸裏
もう会えないと、俺が言ったら潤はどうするだろうか。
そんな心配をしていた。
だけど、そんなの必要なかった。
智「いつ行くの?」
潤「ん~、10日後くらいかな」
目鼻立ちもハッキリしていて強そうに見えるのに、やっぱ年下なんだろうな。
潤は結構甘えんぼだ。
端から見りゃそんな感じは無いだろうが、俺には結構我が儘を言ったり拗ねたりと、可愛い一面を見せる。
潤「てことでさ、呑もうよ」
智「ん。相葉ちゃんとこいく?」
潤「ん~、今日は二人で呑みたい。ね、いいでしょ?」
智「ふふっ、分かったよ。呑もう」
ほら、ね。
甘えんぼだ。
だけどやっぱ芯はしっかりしていて、一人でちゃんと飛び立つんだ。
余計な心配なんてお前には必要ないね。
俺は、遠くてもちゃんと応援してるから、さ。
潤「ふぃ~、結構呑んじゃったねえ」
智「呑み過ぎだよお前(笑)」
潤「だぁってさあ。なんか、寂しくなっちゃって…」
智「ふふっ。ほら、ちゃんと歩いて」
俺に引きずられる様にして潤は歩く。
漸く辿り着いた潤の部屋のドアを、俺はガチャッと開けた。
智「はい到着~。潤、靴脱いで」
潤「ん~」
ベロベロだな。
セーブしといて良かった。
コイツに付き合ってたら、俺はとっくに潰れてる。
智「よいしょ…っと」
潤「こっちじゃない。アッチ」
やっとの思いでソファーに降ろしてやると、アッチがいいと指をさしてゴネる。
智「ええ?水は?飲むでしょ?」
潤「アッチで飲む」
智「ったく…。ほら、せーの」
よいしょ、と声を合わせると潤は嬉しそうに立ちあがる。
そのままフラフラと、俺に介助されてベッドに転がった。
智「はい。飲んで」
潤「ん…、ありがと」
水を持ってきて手渡す。
背を起こしてやると、潤はコクコクと喉を鳴らして水を飲む。
潤「智」
智「ん?」
酒で潤んだ瞳を俺に向ける。
月明かりで光るシーツの上で、潤は俺を見つめるんだ。
潤「久し振りにキス、しよ?」
智「ええええ」
潤「えっ、そ、そんな嫌?」
嫌じゃないよ。
嫌じゃないけど。
なんだかなぁ。
俺が、寂しくなりそうなんだよな。
