
不透明な男
第13章 胸裏
首筋を、熱い舌が濡らす。
その暖かい感触に身体を震わすと、Bは少し笑う。
B「ほら…、駄目だろ?ちゃんと慣らせとかないと」
智「ん…」
その舌が俺のシャツの隙間を縫って胸に下りる。
B「ふふっ、確か胸も弱いんだったな…」
智「そ、そんな、舐めるな…」
コロコロと、俺の胸を舌で転がし、愉しそうに反応を見る。
ピクリと動く俺の眉を見ると、更に攻めようとする。
智「はぁ…っ、駄目だって…」
B「感覚に慣れとかないと、当日大変だぞ?」
智「んん…っ」
あくまで俺が困らない為にと、Bは言う。
だけどその顔は少し愉しそうに笑っているんだ。
智「だ、大丈夫だよ…。あんな奴らに触られたって、気持ち良くもなんとも…、ならな、い」
B「本当お前は可愛い奴だな…」
って事は、俺だと気持ち良くなれるんだろう?とニヤニヤとほくそえむ。
B「我慢するなよ…?」
智「ん、ぅ…っ、く」
ああ、なんだかもう駄目だ。
気付かないうちに溜まってたのもあるのかもしれない。
俺に貪り付くBの頭に置いた手は既に震えているし、呼吸だって荒くなってる。
しかも訳のわからない感情が目の奥を熱くする。
B「だから強がるなって言ってんのに…」
やっぱり怖かったんだ。
社長に会う度背筋が凍り、呼吸が苦しくなった。
ドクドクと鼓動は早まり、俺の指先はいつでも震えそうだった。
B「怖いなら、怖いって言えよ…」
智「んぅ…っ、はぁ、は…」
大丈夫だ怖くない、只緊張しているだけだと自分を誤魔化した。
だけど、コイツは気付いてたのか。
B「もう、そんな涙流さなくていい様に…」
智「んんっ…」
自然と溢れる涙の理由はなんだろう。
怖いからなのか、コイツが妙に優しいからなのか。
B「そんな顔しなくていい様に、終わらせよう…な…」
そうだな。
いい加減終わらせよう。
智「あっ、あぁ…っ、もう…っ、く」
ちゃんと終わらせて、しっかり前を向いて歩くんだ。
B「ふふっ、いっぱい出たぞ…?」
智「言うな…」
俺の中に燻る熱を吐き出した。
少しスッキリした俺は、瞳に力を込めるんだ。
智「もう大丈夫。ありがと…」
B「ああ」
確かな瞳でニコッと笑う。
その瞳を見たBは、久し振りに安心した顔を見せた。
