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不透明な男

第13章 胸裏



智「てことで、寝よ?」

和「え、泊まってくの?」

智「駄目なの?」


俺にぎゅっと抱き締められたニノが、腕の中で顔を覗かせて言う。


和「や、駄目じゃないけど」

智「んじゃいいじゃん。最後の夜だぞ?」

和「…ホントに手出さないの?」

智「ふふっ、出さないよ。ほら、いつもみたいにこうやって寝よ?」


ニノを抱えてベッドにゴロンと転がる。
この広いベッドは、俺が泊まる様になってニノが買い替えたんだ。


智「やっぱニノのベッドは落ち着くなぁ」

和「ふふっ、そりゃそうでしょ。アナタ好みの固さを選んだんだから」

智「だね」

和「だねってアナタ、…っとに、も~」

智「ふふっ、なんだよ」

和「いえ、アナタみたいなおバカさんに騙されるなんて俺もヤキが回ったなあと」

智「なんだそれ(笑)」


いつもは離れて眠るんだ。
だけど今日はもういいか。
どうせ朝にはくっついてるんだから、最初から抱き締めてたって同じだろう。


智「だけどお前って結構バカだよね」

和「はっ?」

智「変なトコには鋭いのに、自分の周りは全然見えてないじゃん」

和「ええ?ちゃんと見てるよ」


ニノを汚されたく無いとは言ったけど、コイツならいいかなって奴がいるんだよな。
いや、むしろアイツしか駄目なんだ。


智「お前って馬鹿みたいに俺に気を許してるじゃん?」

和「馬鹿って…」

智「だけどさ、俺と同じ様に気を許してる奴、他にいない?」

和「他?」


あれもなついてるんだろう。
だけど、俺に見せる顔と少し違う気がするんだ。
同じ様な顔もするけど、何か違う。

俺から見ると、凄く楽しそうに見えてるんだよ?


和「んーーー、いない」

智「ってばか」


まあいいか、そのうち気付くだろ。

遅かれ早かれニノの相手は絶対アイツだ。
アイツなら絶対ニノを守ってくれる。


智「ん?眠くなった?」

和「ん、ネムい…」

智「よしよし、んじゃ寝よう」

和「子供じゃないんだから(笑)」

智「ふふっ、おやすみ」

和「ん。おーのさん、おやすみなさい…」


よし、ニノにも伝えた。

もうこの寝顔を見れないのは寂しくなるけど、ここにいたってやっぱもう見れないんだよな。

相葉ちゃんに申し訳無いから。

だけど今日はいいよね?


この寝顔を見ると、心がふんわりするんだ。



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