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不透明な男

第14章 終幕



どうしてアイツがいるんだ



外に気を取られていた事を誤魔化す。
背を窓に張り付かせ、ぎゅっとカーテンを握る。


智「本気で、言ってるんですか…」

社「ああ、お前を私にくれないか?」


怯えた瞳で社長を見る。
その姿に、社長は更に喜んだ。


智「僕は、男ですよ」

社「そんな事は関係無い。私が欲しいのは成瀬、お前だ」


チラッと窓の外を見る。
漸くホテルに向かうのだろう。
豆粒程の大きさの男達が移動を始めていた。


社「どうしたんだ…」

智「こ、来ないで」


声を上擦らせながら俺は言う。
すると、またもや社長は余裕の笑みを浮かべた。


社「そこからじゃ逃げられないぞ。…飛び降りたら死んでしまう」


そう言うと、社長は俺をベッドに引き倒した。

カーテンはほんの少し隙間が出来た。
プロのカメラマンなら、この隙間からでも十分に撮れるだろう。


智「あ…っ」

社「何がそんなに怖いんだ。…お前は、私の為ならなんでもすると言っただろう?」


汗ばんだ首筋に手を這わせる。
プチプチと俺の服のボタンを外すと、そのはだけた服の中に、手を差し込んできた。


智「…っ、やめ」


案の定俺の腕はBGに捕まる。
腕を固定されると社長は馬乗りになり、身動きの取れなくなった俺をいたぶる様な目付きで見つめる。

身体を捩らせ出来る限りの抵抗を試みるも、社長は愉しそうに俺の服を剥いでいく。


智「んんっ、社長…っ、だ、駄目です…」


はぁ、はぁ、と荒い呼吸の合間に拒否の言葉を発する。
口だけで何も出来ない。
それを分かっている社長は、ニヤニヤと笑いながら乱した服の中に手を差し込み、這わせてくる。


智「はぁっ、は…」


汗が吹き出そうだ。
身体が燃える様に熱くなっていく。


社「はは…っ、顔が赤いぞ」


頬は火照り、熱くなる。



体内を駆け巡る血液は、俺の身体を痺れさせるんだ。




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