
不透明な男
第14章 終幕
ベッドに寝ている訳では無い。
立ち上がったこの姿なら、向かいのホテルからでも十分撮りやすい筈だ。
智「はぁ、はぁ…っ」
ただ問題はカーテンだ。
俺は動けないし、隙を見てBに開けて貰うしかない。
社「はち切れそうじゃないか…」
首筋を舐めながら俺の前を触り、社長は言う。
目を閉じていても、その声で社長がどれだけ嬉しそうなのかが分かる。
社「ここは、触った事があるか…?」
智「…っ」
背筋を這っていた指がツツッと下に降りたと思ったら、俺の後ろを割り開いて来た。
智「なっ、や、やめ」
身体を捩って逃げようとする俺を前からグッと抱き込む。
智「っ、だ、駄目、触らな…っ」
焦る俺を愉しそうに見る。
そのいやらしい笑みはそのままに、俺を見ながら後ろの蕾を探り当てた。
智「…っ、社長っ」
なんて事をするんだ、信じられないとでも言う様な瞳を向けても、社長の笑みは消えない。
それどころか俺の怯えた顔を見て、益々嬉しそうに笑うんだ。
社「お前は女を抱いた事しか無いのだろう?」
智「っ、あ、当たり前です」
くるくると蕾を撫でながら、俺に顔を寄せて話してくる。
社「抱かれる事も、味わった方がいい…」
べろりと俺の頬を舐めると、俺の震えをもっと引き出させようとジワジワと指に力を入れる。
智「っ、あ、や、やめっ」
ぎゅっと目を閉じると、フッと社長の力が弛んだ。
社「はは、私とした事が焦ってしまったな。…痛くない様にしてやるからな」
トロリとした冷たい感触が後ろを伝う。
それだけで身体を震わせた俺を、社長は愛しそうに見つめる。
社「緊張するな…」
ヌルヌルとした指を撫で付けると、ジワジワと力を込める。
罠に掛かった獲物はすぐに殺さない。
ジワジワといたぶる様にして遊ぶ。
そして十分遊んでから、ひと思いに殺すんだ。
社長の黒い瞳は、新しいおもちゃを与えられた子供の様に輝いて見えたんだ。
