
不透明な男
第14章 終幕
後ろからBGが俺の内壁を擦る。
ゆっくりと出入りする指は、いちいち俺の跳ねる場所を掠めていく。
その前からは、Bが温かく俺の前を包む。
口内に含まれた俺は、その卑猥な水音を聞いただけでゾクゾクと震えていた。
智「あぁっ、あ、も、もう駄目…っ」
グッと大きく膨らんだ前から今にも熱が出そうだった。
だが社長はそれを許してくれなかった。
俺に絡む二人を制止すると、社長は俺の前を握りながらキスを迫る。
智「んっ、んぅ…」
荒い呼吸の為に既に息苦しかった。
熱を持ちすぎた身体はガクガクと震え、崩れ落ちなかったのは繋がれている鎖のおかげだった。
社「成瀬…、私の物になるか?」
頷いたらどうなるんだろう。
楽になれるのだろうか。
智「はぁっ、はぁ、社長…」
社「私の物になるなら、今すぐ楽にしてやってもいい」
社長の声は、俺の脳内でキーンとぼやけながら伝わる。
目の焦点も合わせられずに、只涙を流し、荒い息を吐きながら、社長の言葉を聞いていた。
社「刺激が強すぎたか…。成瀬、しっかりしろ」
俺の頬をペチペチと叩く。
その刺激に我に返った。
智「あ…」
虚ろな瞳をした俺を、鎖から解放する。
そのまま俺は、ドサッと床に身体を投げ出した。
智「ふぅっ、ふぅ…」
社「成瀬に水を」
床の冷たさに意識がはっきりしてきた。
ゴロンと横たわったままの俺に、社長は口移しで水を飲ませた。
智「ん…」
逃げなくちゃ
こんな所で転がっている場合じゃない
社「お前は女を激しく抱くのに、自分が激しくされるとそんな顔を見せるのだな…」
何処までも愛しそうな顔付きで俺の頭を撫でる。
一瞬見せるその優しい表情は偽物なんだ。
社長はすぐにドロドロとした黒い渦を纏う。
辺りをそっと見回すと、Bの姿が無かった。
と言う事は、証拠を抑えるのには成功したらしい。
後は助けが来るまで、俺は逃げ切らなくちゃならない。
