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不透明な男

第14章 終幕



俺をベッドに移動させようと脇を抱えて立ち上がらせる。
そのBGを振り払い、今にも抜け落ちそうな膝で窓に駆け寄った。

その掴んだカーテンの隙間から向かいのホテルを覗く。
既に部屋にはAは居ない筈だ。
突入する為にこっちに来ているに違いない。



え…、人影?
まだそこにいるのか?
なんで…
だってBが居ないのは、オートロックを解除しに行ったからじゃ無いのか?



BG「大人しくしろっ」


窓に張り付く俺は、後ろから羽交い締めにされる。


社「まだそんな元気が残ってるとはな…」


後ろから俺の耳元へ唇を寄せて低い声を聞かせる。
その声のトーンで、顔を見なくても怒っていると分かった。


智「んっ、んぅ…っ」


後ろから社長の指が差し込まれる。
その一瞬で再び力が抜けた俺は、眉をしかめ全体重をカーテンにかける。


智「んぁ、あっ、あ、くぅ…っ」


目を開けていられない程の衝撃に耐え、なんとか薄く目を開けて向かいのホテルをもう一度確認する。



やっぱり誰か居る
でもあれはAじゃ無いし、刑事でも無い
という事は、カメラマンか…?
いや、違う

まさか、あれはさっきの…



智「…っ、ん、うぁ…」


窓と俺の間に割り込んだBGが俺を口に含む。
その刺激に俺は窓に張り付く様にしがみついた。


社「ふふ、いい姿だ、成瀬…」


尻を社長に付き出す形で俺は弄ばれている。
そんな俺に、向かいのホテルの窓に張り付く男の姿が見えた。



…!
やっぱり翔だ
どうしてあの部屋に翔が…



混乱する俺は、こんな格好を翔に見られたく無くて、俺の下半身を貪るBGの頭を掴んで引き離す。
震える足で、よろけたBGをなんとか蹴り上げると、くるっと振り向いて窓に背を向けた。



早く窓から離れなくちゃ



遠く離れたホテルに居るのに、翔の視線は俺の背に刺さっていた。





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