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不透明な男

第14章 終幕



智「っ、はぁっ、あ…」


好きだよと、低い声を響かせながら俺の甘い声を引き出す。

熱く震えた身体に汗を滲ませ、俺はその刺激に翻弄される。


翔「智くんが欲しくて堪らないよ…」


動きを止めた翔は、俺を見つめる。


翔「俺に、智くんを頂戴?」


熱い息を吐きながら翔は言うんだ。
その息は、俺を疼かせる。


智「…っ」


翔の気迫に圧倒された俺は、何も答える事が出来なかった。
そんな俺に、翔の熱が触れる。


翔「貴方の中に、入りたい」


憂いを含んだ優しい顔で、俺に訴える。


翔「力を抜いて…」


ドキドキして強張る俺の身体を翔は押さえ付ける。


翔「俺を、受け入れて」


滑りを纏った熱は、グッと俺に押し付けられた。


智「ん、ぁ…」


グッ、グッと俺に少しずつ入ってくる。


智「あ、ぁ…っ、く」


俺の胸は益々熱くなる。
熱くなりすぎて、呼吸を忘れそうな程だ。


翔「はぁ…、智、くん」


翔の低い声で、俺の背はゾクゾクと震える。
震えた背をしならせ、俺はぎゅっと翔の腕を掴んだ。


翔「貴方の中が熱くて、蕩けそうだよ…」


自分を俺の中にしっかりと押し込み、翔は安心した様な声を出した。

そんな翔の声は、今まで味わった事が無い程に、俺の胸を震えさせるんだ。


智「あ、ぁ、翔、くん…」


胸が熱くなって、心臓が震える。

震えた心臓は俺の脳を痺れされ、痺れた脳は涙腺を刺激する。

刺激された涙腺は俺の目の奥を熱くして、瞳を潤ませるんだ。


翔「涙が宝石みたいにキラキラしてる。綺麗だよ、智くん…」


翔が宝石だと言うその涙は、益々溢れるんだ。
その涙を翔の唇が掬うだけで、俺の胸は疼く。


智「あ…っ、はぁ…、ぁ、う、動かないで」


疼きが止まらない。

抑えられなくなった身体は、少し翔が動くだけでビクビクと跳ねてしまう。

その過敏に反応する身体が卑しくて、恥ずかしいんだ。


翔「大丈夫だから、怖がらないで」

智「んっ、んぅ…、だ、駄目だよ…」

翔「俺を受け入れる智くんが見たいんだ。俺に、貴方を見せて…」

智「あ、…っ、しょ、翔くん…っ」


震える身体を抱き込み、翔は動き出す。

もう果ててしまってもおかしく無い程に、俺の身体は反応するんだ。



この疼きは薬じゃなくて、俺の本能なのか。






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