不透明な男
第16章 透明な男
翔「はぁっ、はぁ」
智「ふふ…」
恨めしそうに俺を見る翔の頬を撫でる。
翔「もう…」
拗ねる翔の頬にちゅっとキスをした。
翔「離してくれないから、イッちゃったでしょ…」
智「離さないよ」
離してなんかやらないよ。
智「言ったでしょ?」
翔「あ…、もう本当に貴方は…」
くるりと形勢逆転する。
再び俺をベッドに張り付け、今度は俺の番だとばかりに胸にキスをする。
智「ん…っ」
翔「ここ、弱いんでしょ?」
あんなに焦った顔を見せていたのに、もう翔はニヤリと笑っている。
智「あ、しょ…くん…っ」
震える身体に反応して、俺の手はぎゅっと翔を掴む。
智「んぅ…、ぁ…」
翔「その声、ゾクゾクする…」
これも同じだったのか。
翔も、俺の声を聞いて震えるんだ。
翔「もっと聞かせて…」
全く同じ事を感じている。
それがとても不思議でならないのに、その不思議が凄く嬉しくなる。
智「ん、ぁ…」
翔も俺の熱を取り込もうとしてる。
熱く震える俺の身体を押さえ付け、俺が逃げないようにと深く貪るんだ。
智「はぁっ、あ、翔、くん…」
そんな事しなくたって俺は逃げないのに。
その口内は熱くて、今にも溶けそうなのに。
智「んぅ…っ、も、駄目…」
俺の切羽詰まる声を聞くと、やはり翔も少し嬉しそうなんだ。
寄せた眉と、細めた目を愛しそうに見つめてくる。
そんな翔の、俺を見る瞳はもっと綺麗なんだ。
智「あっ、ぁ、翔、くん…っ」
俺の熱を一滴残らず体内に取り込む。
荒い息を吐き汗を滲ませた俺に近付くと、翔は俺の額にキスをする。
智「はぁっ、はぁ」
翔「ふふ…、可愛い…」
だから漏れてるよ。
抑えが効かなくなって心の声が漏れてる。
智「キス、して」
俺もついうっかり言ってしまう。
思った事をそのまま。
何故か翔の温もりの中にいると、つい口が滑るみたいだ。