不透明な男
第16章 透明な男
俺の頭を撫でながら翔はキスをする。
優しくふんわりと抱きながら、俺の唇を丹念に味わっている。
智「もっと、ぎゅって…」
ねだるように翔を掴む。
すると翔は笑う。
翔「意地っ張りな所も魅力的だけど、甘えん坊な智くんはもっと可愛い…」
デレデレと締まりの無い顔で笑うんだ。
俺を好き過ぎて馬鹿になってる。
智「翔くんは、格好いいよ…」
俺も馬鹿だ。
こんな締まりの無い顔だって、愛しくて堪らない。
翔「…ちょっと待ってて」
俺の額にちゅっとキスをすると、翔は荷物の置いてあるリビングに行ってしまった。
急に放置された俺は、途端に恥ずかしさが込み上げる。
忘れようと思っていた翔とまさかのこんな事。
可愛いだの格好いいだのと言い合い、互いを舐め合った。
布団なんてとっくにベッドから落ちていたけれど、それを拾い上げて俺はすっぽりと布団にくるまった。
翔「おまたせ」
智「ん」
翔「どうしたの…?」
目の下まですっぽりと布団を被る俺を見る。
智「別に…」
翔「別にって事は無いでしょ」
俺の横に滑り込んで翔はクスッと笑うんだ。
恋愛ビギナーのくせになんでそんなに堂々としていられるのか不思議でならない。
智「ヘンな間あけるから、恥ずかしくなっちゃうじゃんか」
翔「ふふっ、ごめん」
目が合うとまた額にキスをするんだ。
ヘンな間なんて無かったかのように、翔は艶っぽい瞳で俺を見る。
翔「痛い思いはさせたくないから…」
言いながらキスをすると、布団の中で何やらゴソゴソと音を立てる。
智「…っ」
俺の後ろに当たる指は、既に滑りを纏っている。
翔「触っていい…?」
そう聞くくせに、既に触ってるんだ。
俺の足を割り開き、翔は身体を滑り込ませる。
急に触られて少し固くなった俺の身体に静かにキスを落とすんだ。
翔「智くんを抱きたい…」
俺の耳に直接囁く。
その低い声を吹き込まれたら、断れる訳が無いだろう?
智「ん、いいよ…」
俺だって翔に包まれたいんだ。
そんなの聞かれなくたって俺は。
既に翔の熱を欲しているんだから。