不透明な男
第16章 透明な男
俺のその言葉を聞きたかった筈なのに、いざ聞くと翔は驚く。
智「知ってたんでしょ? 驚かないでよ…」
翔「…驚くに決まってるでしょ」
腰を動かすのも忘れて俺を見るんだ。
翔「本当に…、俺の事好きなんだ…」
智「ふふ、そうだよ?」
目をまるくしてる翔に俺からキスをする。
智「大好きだよ…」
唖然とする翔に舌を差し込む。
翔の舌に触れてやると、ピクッと反応を示した。
智「もう止まんないよ…、早く、愛して…」
その熱が待ち遠しくて、翔の口内で暴れた。
疼きが抑えられずに翔を求めるんだ。
翔「俺も、大好きだよ…」
やけに恥ずかしい台詞をペラペラと話す俺に煽られたのか、翔の瞳は熱く燃える。
智「ん、ぁ…っ、あ」
急に激しさを増すんだ。
智「はぁっ、あ、…っ、ん」
翔「そんな事言われたら、もう…」
せつない瞳を俺に向けて、翔は汗を垂らす。
翔「俺も、止まらないよ…」
その熱く潤んだ瞳は綺麗で。
智「翔くん、綺麗…」
濁りなんて全く無くて、透明で。
翔「綺麗なのは、智くんだよ…」
その瞳は、俺の事を綺麗だと言うんだ。
翔「貴方の身体も心も、全部綺麗だ」
智「翔くん…」
荒い呼吸と、熱い汗と。
潤んだ瞳と高揚した頬と。
繋がりながら、甘い息を吐きながら伝え合うんだ。
翔「素直な智くんも、凄く可愛い…」
頑固だし意地っ張りだし気分屋だし。
そんな俺を綺麗だの可愛いだのと言う。
智「あぁっ、ぁ、翔…っ」
こんなに素直に甘い息を吐いて、恥ずかしい台詞を並べて。
智「ん、んぅっ、ぁ」
全てはお前が原因なんだ。
お前が俺を解すから。
だからついつい、気持ちが漏れちゃうんだ。
智「はぁっ、はぁ、しょ、くん…」
必要も無いのに名前を呼びたくて仕方ないんだ。
智「おれ、もう、溶けそう…」
潤んだ瞳で、お前を捕らえたくなるんだよ。