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不透明な男

第4章 探す男


俺はいつの間にか酔っていた。
久し振りに呑んだからだろうか、気分がふわふわして気持ちよかった。


んふふ、そうだよねぇとご機嫌な俺の声が聞こえる。



あれ?おれ、誰と話してんだろ?



ああ、うん、うん。相槌を打つ俺。
グラスに継ぎ足されたお酒をクピクピと呑む。

首にさわさわと何かが触れる。
擽ったいよ~なんて首を竦めながらニコニコ笑う。

ギュウギュウとなんだか狭い空間に居るようで息苦しくなった俺は服のボタンを3つ外す。
ふわふわしながら隣の壁にもたれ掛かった。



…あれ?壁だっけ?ニノは?



壁を見上げると、そこには知らないおじさん。



…え?だれ?



反対側の隣にはこれまた知らないおじさん。
俺の後ろにも人が居た。

我に返った俺はニノを探す。
俺の隣で寝ていた筈のニノは、ちょっと遠い席に追いやられて気持ち良さそうに眠っていた。


「ほら、大野くん、もっと呑んで」

「そうだよ、久し振りに会えたんだから」

「グイッといっちゃってよ」


俺は知らないおじさん達に酒を薦められていた。







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