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不透明な男

第4章 探す男


ニノを抱えたまま部屋に上がる。
ソファーにニノを降ろすと靴を脱がす。


智「じゃ、帰るね」


ニノの頭をぽんぽんと叩く。


和「えっもう?」

智「だってもうこんな時間だし…ニノ、仕事とかあるでしょ?」

和「明日は昼からだから大丈夫だよ。それにタクシー呼ぶんだったら時間掛かるでしょ?」

智「あ~じゃ、タクシー来るまで居させて貰おうかな。」


コーヒーでも飲む?と立ち上がるニノを制し俺は言った。


智「まだふらついてるだろ?俺がやる。」


足が勝手にキッチンへと向かう。
初めて見る部屋なのに、まるで知っているかの様に簡単にコーヒーを煎れる事が出来た。


智「おまたせ」

和「…よく分かったね」

智「ん?」

和「場所。コーヒーとか、カップとか。」

智「あー…なんでだろね?たまたまじゃない?」

和「そっか…」

智「うん」


あっそうだ、タクシー呼ばなきゃと立ち上がる。


智「電話かして?」

和「スマホ持ってないの?」

智「なんも持って無かったの。おれ。」

和「そうなの?」

智「体ひとつでゴミみたいに転がってたらしいよ(笑)」

和「笑い事じゃ無いでしょうよ…」

智「そなの。結構深刻なんだよ?」


俺が電話しときますからと、ニノは部屋を離れた。





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