
不透明な男
第1章 記憶の無い男
智「え なに…」
男「ふふ… 本当にお前は綺麗だな」
俺の薄く開いた目を見てくる。
智「ここは…?」
男「あぁ… 病院だよ」
頬をすべすべした布に押し付けたまま辺りを見回す。
病院…?
うそだろ。
こんなキレイな部屋あるわけない。
男「あぁ 特別室なんだよ。その中でも特等のね。」
おれの心がわかるのかコイツ…
男「さぁ おふざけは終わりだ。俺に謝れよ。」
智「謝るの? なんで…」
男の顔が歪む。
男「俺のこと、分からないなんて言うからだ…。」
智「え…っ ん…ぅ…」
唇が塞がれる。
話そうとして出来た隙間に、舌が捩じ込まれる。
