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覇者の剣

第2章 襲撃

「ただの人間殺したって何の得にもならへんやろ。な? 譲ってくれへんか」


男は暫く基を見た後、颯汰に向き直った。


「いいだろう、こんなザコにもう用はない」

「ほんまか? おおきに」


颯汰は嬉しそうに基の方に歩み寄った。そして首元の脈を確認すると、男に向き直った。


「今の爆音で人が来よるで。逃げへんのか? あんたやったら、消えることだって可能なんやろ?」


ニヤッと颯汰が笑うと、男も冷ややかな笑みを浮かべた。


「貴様も、だろう?」

「…想像に任せるわ」


二人はジッと睨み合った。
すると遠くの方から大勢の人の声が聞こえてきた。


「貴様とはまた会いそうだな」


そう言い残すと、男は一瞬にして消え去った。
颯汰はホッと息を吐くと、北西の空を見上げた。


「かなり手強そうやで、岩船寺のおっちゃん。あと三人や、あと三人探さな奴らは倒せへん。…頼むで、基」


そう呟くと、颯汰は気を失っている基を険しい表情で見つめた。




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