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覇者の剣

第3章 記憶

血の匂いがした。
ゆっくりと目を覚ますと、目の前に赤い炎が見えた。


「…」


ここはどこだろう、建物も何もない。
ただ草原が広がっているだけだ。


そして燃え上がる赤い炎…
その赤い炎の中に人がいた。


「燃えてる!?」


すぐに助けなくてはと、基は学ランを脱いでその人物に被せた。


「大丈夫か!?」


だが炎は弱まらない。
というか、熱くない。
そして炎に包まれている人物も冷静だった。


『…基…』

「…えっ、悟?」


悟の声が聞こえた。
赤い炎に包まれているのは、悟だった。


「悟、なにやってんだよ!」

『…僕は悟じゃないよ、兄さん』

「!?」


次の瞬間、赤い炎が高く舞い上がり、基に襲いかかった。


「…っ!」


炎が肌に触れる。熱い。
熱い、熱い、熱い!


「うわぁぁぁ!!」


基は炎を振り払おうと、のたうちまわった。
それを冷ややかな目で見つめる悟。


いや、あれは悟ではない。
あれは────…



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