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覇者の剣

第3章 記憶

「基、しっかりせえ!」

「…あっ…」


ぼやけた視界の中で、誰かが自分を見降ろして叫んでいた。


「大丈夫か? わいが見えるか?」

「…誰だよ、お前」


基はガバッと飛び起きた。


「…痛っ!」

「あほやな、そんないきなり体動かしたら痛いに決まってるやろ」


身体中が痛い。
よく見ればあちこち手当てがしてある。
もしかして、この関西弁の男が?


「…くそっ…なんでオレがこんな目に…」


人間離れした男の力に、手も足も出なかった。


「…基、もしかしてまだ《力》が…」

「…力?」


基が首を傾げると、颯汰は眉をひそめた。


「もしかして記憶もないんか?」

「記憶? なんのことだよ」

「……」

「てゆか…ここ、どこだよ」


辺りを見回すと、自分は見たこともない和室の部屋にいた。



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