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覇者の剣

第1章 謎の男

「なんだと…!」


カッとなり基は拳を振り上げる。
男はサッと横によけ、基の腹部を膝で蹴りあげた。


「グフッ…」


腹部に強い衝撃を受けた基は、そのまま地面に倒れ込む。


「基っ!」


悟が基のそばに駆け寄ろうとすると、男が悟の前に立ちはだかった。


「なっ…」

「探しましたよ、悟様」

「…えっ…」


いきなり『悟様』と呼ばれ、悟は目を丸くした。男は不敵な笑みを浮かべている。


「私と一緒に来てください」


そう言って悟の腕を掴もうとした時、ふらりと立ち上がった基が男の背中を思いっきり突き飛ばした。


「悟、走るぞ!」

「うん…!」


男がよろめいた隙に鞄を拾い上げて、二人は全速力で走り出した。途中何度も振り返ったが、男が追いかけてくる気配はなかった。
慌てて近くのファーストフード店に入ると、二人は店の奥の席に腰をおろした。


「はぁ──」


長い息を漏らしながら椅子にもたれかかる基。


「なんだよ…あいつ。お前の知り合いなわけ?」


まだ息が整ってないのか、悟は頭を左右に振って答えた。


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