霧島さん
第2章 お久しぶりです、霧島さん
「お前はどこもかしこも弱くていじりがいがあるな」
「ンッ」
ふっと笑ったその吐息でさえ、強い刺激となって私を襲う。
今は冬のはずなのに、熱い。少し汗ばんできた肌の上を冷たい手が這って気持ちがいい。
けれど、その手が熱くなるまで私を攻めてほしい。
私は、胸元にキスを落としていた彼の頭ごと包み込んで、ぎゅっと抱きしめた。
「…いじめすぎたな。俺ももう我慢できないし、ベッド行こう」
「う…ん、」
余裕なんてない。けど、私を軽々と抱いた彼にも余裕さは見えない。
二人とも、いつだってこうだ。
「ハナ、今日も無理させるかもしれない」
ゆっくりとベッドに下され、すぐに馬乗りになった彼が、余裕のない声でそう言う。
私の頬に触れたその手がさっきより熱くなっていることに気が付いて、キュウ、と胸が締め付けられた。
「いいよ…。抱いて―――先生」
彼――先生の唇がゆっくりと近づいてきて、とうとうお互いの唇が触れる、
と思ったその時だった。
ガタッ
「、」
突然の大きな物音に、私たちはぴたりと動きを止めた。
―――あぁ、そうだ。そうだった。忘れていた。