霧島さん
第3章 霧島さんと志月蛍
「わ!霧島さん!!!見てくださいあれ!!」
「!?え、なんですか!?」
と、突然大きな声をだした志月蛍に、中で丸まっていた私も飛び起きて布団から飛び出した。
何!?UFO!?
「!?」
が、布団から顔を出した瞬間、私の体は強い力で志月蛍の腕の中に引き寄せられ、
「ンッ!ンンンッ」
騙されたと気づいた時には志月蛍に唇を塞がれて、ぬるりと舌を差し込む熱いキスがおちてきた。
「ちょっ」
顔を引っ込めようとした私は、すかさず志月蛍によって捕まえられる。
それから志月蛍は親指と人差し指で私の顎を挟むと、角度を変えて何度も口付けを落とし、私の思考をストップさせた。
「あ…んんっふっ…ッ」
…ちゅっ
「ごちそうさまです」
「〜〜ッ!」
そして、いたずらっ子のような顔を浮かべると最後に小鳥のようなキスをして、志月蛍の唇はやっと離れていった。
「とっ突然なにするんですか…っ」
「すみません。いってきますのキスに憧れてたんです」
な、なんだそれ…。と、息を整えながら睨むと、志月蛍が色っぽく口元を拭っているところを見てしまう。
「…、」
銀の糸が今さっきまで繋がっていたことを物語っていて恥ずかしい。
反論しようとした私も、すっかり消沈して口を噤んだ。
「じゃあ、いってきますね」
「…いってらっしゃい」
意地悪く笑うその顔を憎らしく思う。
志月蛍はぼそりと言葉を返した私に優しい手つきで頭を撫でると、少し急ぎ気味に部屋を後にした。
「………」
ーーー…あの男に本気で愛されたら、一体どんな風になるのだろう。
志月蛍がいなくなり、しん、と静まり返った部屋の中で私はそんな馬鹿なことを考えながら、
そんなありもしないことを拭い去るために、もう一度眠りにつくことにした。