霧島さん
第4章 志月さんの秘密
私の言葉にピクリと体を揺らした志月蛍。
そして、私はそんな彼の射抜く瞳に耐えきれずに視線を外した。
自分がこんな面倒な女だったなんて。
最初は知らなくていいと思っていたのに、彼と過ごすうちに知りたくなってしまった。
そして、欲張りになってしまったんだ。
「何を言ってるんです?」
「お願い、答えて…」
「霧島さん」
「もう、志月さんを疑いたくないんです。純粋な気持ちのまま一緒にいたい」
「霧島さん、落ち着いて?こっち向いて」
はらはらと涙を落とす私の頬が優しく包まれ、そっと顔を上げさせられる。
こんなズビズビな顔見られたくない。
「こっち向かないとここでキスしますよ」
が、志月蛍のそんな脅しに私の視線は即座に彼に向いた。
それはずるくないですか志月さん。
「ふはっぐしょぐしょじゃないですか」
「、」
小さく声をあげて笑われ、ごしごしと服の裾で涙を拭かれる。
「……」
なぜ彼が笑っているのかわからない。呆れていると思ったのに、それどころか嬉しそうに笑っているなんて。