
霧島さん
第6章 霧島さんと先生
「待ってください…、違法ってなんですか?
わ、私は自分の意思で先生と、」
「霧島さん、落ち着いて」
ガタガタと震えだした私の手に、志月さんの手が重なる。
「大丈夫です。他人事だと思って聞いてください」
「、」
志月さんの真剣な瞳に、ゴクリと生唾を飲む。そして頷いた。
そんな私の様子を見た志月さんが、私の手を握ったままそっと口を開いた。
「霧島先生の患者に、両親を亡くした少女が居ました。その少女は日に日に良くなっていっているように見えてましたが、突然パタリとこなくなってしまったそうなんです」
「そして、数日後。病院の方たちは彼女の行方を知ったそうです。
…それも、ニュースで」
ズキンッ
頭に激痛が走る。
ズキン、ズキン。
だめだ、今彼が言っているのは、何か、思い出してはいけない事のような気がする。
「両親を追って自殺した、と。
崖には少女の字で書かれた遺書と靴が残され、すぐに自殺だと判断されました。長く海の中の捜査が続けられましたが、未だに見つかっていません」
ズキリ、ズキリ。痛い。
「先生は、酷くその少女に肩入れしていたと聞きました。なのに、その少女のニュースを見ても取り乱すどころかいつも通りだったと、」
ズキン、ズキン、ズキン。
「そして、噂が流れ出したらしいです、
もしかしたら、その少女は今も生きていて。
霧島先生がその子を監禁しているんじゃないかって」
