
霧島さん
第6章 霧島さんと先生
監禁、
違法、
『ハナちゃん。君は今日から霧島 ハナって名乗るんだ』
私の、本当の名前じゃない。
『この薬を飲んで。そうしたら嫌なことを忘れさせてあげる』
薬、
『今日をもってーーーは居なくなった。君の存在はこの世に消えたから籍はいれられないけど、ハナは俺のお嫁さんに違いない』
私は、
「この世から、消された…」
「…君は続けて飲まされた薬と、霧島先生の甘い言葉でどんどん洗脳されていったんです。
自分が好きなのは霧島先生だと。
そして、霧島先生以外の人間は酷く汚いものだと思い込まされていった」
だから、私はどんなに先生に酷くされても嫌いになんかなれなかったんだ。
外に出ることもままならず、吐き気まで覚えるほど、私は先生の紡ぐ言葉を信じてしまっていた。
「数ヶ月働いて、新しい情報も得ることができました。それが、《月の始め。先生は酷く急いでいつもとは違う道に走って消えていく》という噂でした」
その言葉にあ、と口を開いて彼を見ると、それを肯定するように彼は頷いた。
「俺は早速後をつけました。そして、辿り着いたのがこのアパートだったんです」
