
霧島さん
第6章 霧島さんと先生
「なっど、どうしたんですかっ?」
「………」
普段からスキンシップの多い人だから慣れてはいるけれど、やっぱり突然抱きしめられるとドキドキしてしまう。
お互い部屋着だから体の輪郭がわかってしまって恥ずかしい。
「ーーー…同情、だったんです」
「、」
と、耳元で聞こえた小さな声に、ピタリと動きを止める。
顔を見たいけれど、彼が私の肩に頭を預けているせいでどんな表情をしているのかわからない。
けれど、その声色はひどく痛々しい。
志月さん、どうしてそんなに苦しそうなの。
「可哀想だ、って思って、貴女を助けようとしていた。自分に意識を向けさせれば、霧島先生から解放されるんじゃないかって、」
「……」
志月さんの声が僅かに震えている。
こんなに弱々しいこの人を見るのは、初めてだった。
「貴方が好きです」
「っ、」
ーーーと。突然の告白に、ひゅっと息を飲む。
「貴女と過ごすうちに、貴女の事を知れば知るほど、好きになりました」
いつの間にか、頭の痛みは消えていた。
代わりに、心臓が痛いほど暴れている。
トクントクントクンと、まるで小鳥のように軽く、早く動く。
嬉しい…。その言葉は、きっと嘘じゃない。
「志月さ「でも」
「でも、意識を無理矢理自分に向けて助けるなんて言って、していることは霧島先生と同じだと気付いたんです、」
